Page17 –「竹本和弘、参戦!」

『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2022.12.10

12月10日(土)「竹本和弘、参戦!」

2月に上演する
劇団ふぁんハウス創立25周年記念公演
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」
の稽古は順調に進んでいる。

思い起こせば、
キャスティングを行ったのは5月で、
稽古をスタートさせたのが6月だった。

6月、7月と人生芸夢の稽古を行い、
8月、9月、10月が
「久美・美容室物語板橋公演」の稽古、
そして10月20日、21日が本番。

そして11月より、本格的に
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」
の稽古に入っている稽古場に、
本日、竹本和弘がやって来た。

竹本和弘といえば、
2002年から2011年まで
劇団ふぁんハウスに在籍していて、
数々の主役もこなした男。

今年公開された
映画「冬薔薇」(監督・阪本順二)に
劇団ふぁんハウス所属として、
主演の
伊藤健太郎君との1対1のシーンで
見事に「森繁久」を演じ、
さりげない中にも
重みのある竹本のセリフは、
ネット上でも大変良い評価をうけていた。

竹本にしてみたら
映画出演は初めてで、
そもそも役者として芝居をするのも
劇団ふぁんハウスでの公演以来なので
十数年ぶりだった。
それなのに彼は、映画スタッフさんが
約100名以上はいるであろう
撮影現場でも全く物おじする事なく、
貫禄すら醸し出しながら、
堂々と撮影に挑んでいた。

「たけもっちゃん、錆びてへんなぁ〜」
って、
現場の彼の芝居を観ていてシミジミ思い、
東映大泉撮影所にある、
映画館といってもいいほど立派な
試写専門スタジオでの初号試写で、
大きなスクリーンに映し出された竹本和弘を観て、
私はとっても誇らしい気持ちになった。

作品のエンディングで、
「森繁久・竹本和弘」という文字と、
「劇団ふぁんハウス」という文字が
大きく映し出された時、
「ついに、こんな時がきたんやなぁ〜」
と感無量。

もともと彼は、
芝居に対する勘所があるうえに
相当な努力家だったので、
彼のやる気に応えるべく、
随分と色々な役を演じてもらったけれど、
そのたけもっちゃん、
阪本監督の素晴らしい演出で、
立派な俳優に仕上げていただいていた。

目がみえなくても、

「熱意とやる気があれば
本物の芝居が出来る」

を現実のものにしてくれたたけもっちゃんと、
また一緒に芝居がしたいなぁ〜って、
ずっと心に秘めていたのだが、
私の熱いエールに
ようやく首を縦に振ってくれまして、
この度、「人生芸夢〜夢のとおり道〜」に
参加してくれることとなったのだ。

彼の初舞台は、20年前に上演した
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」で、
今回25周年記念特別公演に、
彼が初めて舞台に立った作品に
向き合う事になる。

今いるメンバーで、20年前の
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」を
知っているのは、
私とたけもっちゃんだけ・・・
お互いに歳をとりました。

そんな話はさておいて、
約12年ぶりに稽古場へやってきた
たけもっちゃん。

廊下で彼を出迎えるとかなり緊張した様子。
聞けば映画出演の時よりも緊張していたらしい。

稽古開始前、15分ほど
二人きりで色々な話を致しまして、
稽古場の中へ。

どのメンバーも待ちに待ってました!
って感じで完全ウエルカムムード。

それもそのはず。
たくさんのメンバー達が、
「冬薔薇」の映画を観ていたようだし、
前々回公演「ざ・クリーンキーパー」の稽古時から
「竹本って役者がいてねぇ」
と私は、知らず知らずのうちに
彼の話を何度もしていたみたい・・・。

彼は初演の「ざ・クリーンキーパー」と、
その10年後に再演した
「ざ・クリーンキーパー」と、
どちらも主役で出演していて、
2度目の「ざ・クリーンキーパー」の本番中、
激しく転んで肋骨を骨折しながらも、
誰にも悟られることなく本番をやり遂げた!
という武勇伝の持ち主だったって事もあり、
その事と関連しているのか?どうなのか?
「エンターテイメントライブショー」
というイベントで、私とたけもっちゃんが
劇団ふぁんハウスの歴史を語り合うシーンの
動画も、皆さんに観てもらった事もあった。

だから今いるメンバー達にしてみたら、
「初めまして」って感覚じゃなかったようだ。

まずは、
緊張している竹本に挨拶を促すと、
最初はまともな挨拶をしていたのに、
挨拶の締めで彼は、

「新参者ですが、
よろしくお願い致します」

と、今稽古をしている「人生芸夢」での
とある役者の決めセリフをサラリと言って
みんなから笑いを取るあたりさすが!

「やっぱり感性、錆びてへんなぁ〜」
とまたまた感心する私。

こうして
稽古場がかなり和んだところで、
稽古開始。

はじめにこの座組が、どんなトーンで
どんなテンポの芝居をしているのか、
たけもっちゃんに把握してもらうべく、
シーン1を最初から行い、
そのまま彼・演じる「庄平」が登場するシーンを行うと、
当然の様に彼はセリフを入れて来ていたし、
相当脚本を読み込んで研究してきたからこそ出来る、
意表をつく登場で、みんなを驚かせる。

「そうきたかぁ!」

と思った私は、
ならば!と更なる想像力が掻き立てられ、

「たけもっちゃん、俺の身体触って!」
と言って私の身体に触ってもらい、
「どう動くのか理解する」という演出方法を、
十数年ぶりに実践すると、彼は益々ノリノリになり、
ここのシーンが大きく膨らんだ。

こうして
彼の情熱に刺激をうけた皆さんは、
いつも以上に張り切っているように
思えた今日の稽古でした。
(はぁ?俺が一番、張り切っていた?)


共有: