Page25 –「ダメ出しは辛い。」

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団長の独り言 2023.02.05

2月5日(日)「ダメ出しは辛い。」

昨日も今日も
朝の気温は3℃だか4℃なんだけど、
雲ひとつない抜けるような青空!

ここのところ、また雨が降っていないので、
「大丈夫かなぁ?」
なんて普段は思っているくせに、
こうして澄み渡る青空を眺めると
「今日も最高にいい天気だなぁ〜」
と思ってしまうから、
まぁー勝手なものです・・・。

そんな中、両日とも午前中は色々と
プライベートな用事を済ませ、
午後12時過ぎに稽古場へ到着。

土曜日の稽古場は、前回にひきつづき、
本番と同じだけの寸法の取れる部屋をお借りした。

勿論、広いってのはいい事なんだけど、
広い部屋だとお借りする際、
金額もそれなりになる。

ましてや昼夜連続の長時間お借りするので、
なおの事、貧乏劇団には厳しいけれど、
通し稽古を行うこの時期は、
金額がはってでも
広い部屋で稽古をしたほうが、
全体の完成度が全然違う。

出来る事なら全ての稽古を
この広さで出来ればいいのだが、
しょうがない。

そこで土曜日は広い部屋、
日曜日はそれなりの広さの部屋での稽古となる。

いずれにしても、
立派な稽古場を確保できる事には違いない。
だからこそ、その事に感謝しつつ、
時間を無駄にすることのないよう、
昨日も今日も入室時間と同時に一斉に
道具類を運び込み、効率よくメンバー全員で
手分けして準備をしてから稽古を行う。

スケジュールとしては、
両日とも13時〜17時までが抜き稽古で、
18時からは通し稽古。

抜き稽古というのは読んで字の如く、
場面を抜いて行う稽古の事。

これまでに
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」
の稽古を何か月も行ってきたけれど、
「出来ているシーン」と
「頭を抱えるほど出来てないシーン」
の差が激しすぎて、稽古を重ねれば重ねるほど
その差は開いていっていた。

それでも、やって行くうちに

「きっといい感じの芝居を
見せてくれるだろう」

という期待があったので、
それほど危機感を持つ事なく、
なんだかんだでここまで来てしまったが、

いよいよって時期になっても、
相変わらず、不自然な芝居(みたいなの)が、
全体のバランスを崩し、
その動きが悪目立ちをしてしまい、
一向にいい感じにならない。

そこで意を決して、最後の賭けとばかりに
私は役者と対峙する決意をして、
この2日間の抜き稽古では、
不自然な身癖や不自然なリアクション、
顔の表情、声の出し方に至るまで、
徹底的にダメを出しまくっていった。

「ダメ出しは役者にとっての栄養剤」
なんて物知り顔で言う人や、
「もっとダメ出しをして欲しい」
って事を言う人がいるみたいだけど、
その人は、多分、本気の厳しいダメ出しを
受けた事がないんじゃないのかな?って思う。

厳しいダメを出されると、かなり堪えますよ。
いや・・・本当に。

演出家の言っている事が理解出来るのに、
自分がそれに応えられず、
悔しくて悲しくて腹が立ち・・・

おまけに自分のために貴重な稽古時間を
取らせてしまっている共演者に対しての
申し訳ない気持ちなんかもあり、

自分が情けなくて自信がなくなり、
役者は向いていない・・・
って何度思った事だろうか?

私なりにダメを出される事の辛さは
重々分かっているつもり。

だから出来る事ならば厳しいダメは
極力出さないようにしているけれど、
でも仲良しサークルの、楽しい、楽しいで
お芝居をやっているわけじゃないのわけだし、
いつまでも
役者に気をつかっている場合じゃないと
己に言い聞かせ、言葉を選びながら、
本人達にとっては辛いであろうダメを、
昨日も今日も遠慮なく出させてもらった。

ホントにこの時期に
これだけのダメを出すのは賭けなんですよね。
場合によっては、その役者が混乱して、
余計にひどくなる場合がある。

厳しいダメに耐えて「くそ〜」って思って
燃えてくれればまだいいが、
潰れてしまう人もいるからね。

今回もダメを出すにあたり、
とっても慎重に、
でも言うべき事は遠慮なく伝えて、
「なんとか乗り越えてちょうだい!」
って思いながら、最善の方法を模索しつつ、
イライラする感情をなるべく出さないように、
根気よくダメを出し続けた。

その間、当然ながら他の共演者達は、
じーっと見守っているだけなので、
稽古は先に進まない。

それでも、そんな状況に対して
文句を言うようなメンバーは誰もいない。
みんな、ダメを出されているメンバーを
応援し続けているのが
稽古場の空気感で伝わってくる。

これが劇団ふぁんハウスのいいところ。

そして、そんな抜き稽古を経て、
1時間ちょいの休憩を挟み、
両日とも17時過ぎから、
「通し稽古」を行ってみると、
ダメを出された役者達は、
見違えるようにいい芝居を見せてくれた!

そうなると、今までダメだって思っていた
場面がすっごく面白くなって、
追加で色々な事を他の役者にも、
やってもらいたくなり、演出も変わる。

結果としてどんどん面白くなってきて、
今回もなんとかなるかな?
っていう手応えを少しだけ感じた
今週の稽古でありました。


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