Page36 –「再び巡り合った感覚」(Amatias)

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団長の独り言 2023.04.25

「再び巡り合った感覚」(Amatias)

「団長の独り言」をご愛読の皆さま、こんにちは。
約1年ぶりのご無沙汰です。
何週かに渡り、「劇団メンバーの独り言」ということで、
この「団長の独り言」をお送りしておりますが、
今回はAmatiasが音楽に関する話題満載でお届けいたします。
よろしくお願いします。

公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団
の共催の下上演いたしました
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」も、
大成功のうちに幕を閉じました。

コロナ禍が無くなったわけではありませんが、
私たちがこうして舞台に立つことができるのは、
多くのポジションで様々な形で
常に支えてくださる方々や、
公演を毎回楽しみにしてくださっているお客様が
いるからこそのことであって、
決して当たり前のことではないんだということを痛感し、
公演が終了するといつも感謝しても足りないほどの
思いで満たされています。

と同時に、
劇団ふぁんハウスの軌跡を改めて読み返し、
25年という歳月の大きさを
改めてかみしめているところです。

山あいのひなびた温泉街の老舗ホテルに
併設された高山芸術座という芝居小屋を舞台に、
座員たちの挫折と人情を描いた
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」が上演されたのは、
20年前の第7回公演のことでした。

実は、お客さんとして初めて観劇した舞台がこの作品で、
劇団ふぁんハウスを知るきっかけになった
思い出深い舞台です。

もちろん物語の展開にハラハラドキドキさせられたり、
テンポ良く進んでいく軽快なやり取りに圧倒し、
大げさでなく本当にしばらくは客席を離れられないほど、
芸術座の世界の余韻を楽しんでいました。

これまで本格的なお芝居を観に行った経験は
それほどありませんでしたが、
小学生の頃にあった「観劇の時間」という行事を
毎回楽しみにしていたことを思い出しました。

私が通っていた学校では、
だいたいクリスマスの前後に
本格的な演劇の世界に触れてみようという趣旨で、
開かれていた、「観劇の時間」という行事がありました。

友情の大切さを描いた物語や、
社会問題をテーマに繰り広げられる
ヒューマンドラマや、
中には自分勝手な人間の行いを戒める
内容の回もあったことがありました。

劇団の名前は覚えていないのですが、
毎回オリジナルの作品が上演されるので、
毎年この案内がされると、今年はどんな劇が
見られるんだろうとわくわくした気持ちでした。

どれもこれも本当に完成度が高くて、
主人公の気持ちに共感したり、
大迫力の効果音や音楽に
自分があたかもその物語の世界で
生活しているかのような感覚を味わえたり、
それでいて最後には思わず泣けてしまう
作品が多かったので、
観劇に行って本当に感激して帰ってくるという
状態に決まってなるというおまけが、
必ず付いてくるのでした。

それから時が過ぎて、知り合いから

「私が所属している劇団で
今度公演があるんだけど、良かったらどう?」

と誘われて観に行った舞台が、「人生芸夢」でした。
ホームページで見た公演詳細の中に書かれていた、
「笑って笑って最後は泣ける…」
という一文に、
観劇の時間の時の感覚が蘇ってきて、
もう一度あの感覚が味わえるんだという
気持ちで劇場に行ったことを、
今でも鮮明に覚えています。

全てではないにしても、
BGMをほぼ生演奏で担当している人が
いたというのも新鮮な感覚で、
場面場面に応じて、
音楽も変化していくという
お芝居を観たのはこの作品が初めてで、
その部分にすっかり
心を奪われてしまったのです!

クラシックの演奏会でも、
オーケストラをバックに
ピアノやバイオリンやフルートなどを
演奏している人のことを
「ソリスト」と言ったりしますが、
演劇のBGMを担当しているポジションも、
それと感覚は似ているのかなぁと、
そのときは漠然と想像していました。

そして、「人生芸夢」の次の作品も
観に行こうとしていたとき、
縁あってそのポジションに
関わらせていただくことになり、
現在に至っているのです。

せっかく出会ったこの大切な縁を、
これからも紡ぎだされる
平野作品の中でしっかりと形にしていきたいですし、
お客様の心の中にも残る音楽を作って行こうと、
気持ちを新たにしているところです。

ゴールデンウィークが明けると、
いよいよ
「人生芸夢〜夢のとおり道〜板橋公演」に
向けた稽古が始まります。

7月15日(土)と16日(日)に、
板橋区立文化会館で、
さらにパワーアップした舞台を上演いたします。

赤坂公演をやむなく見逃してしまったという方、
初めてふぁんハウスの公演をご覧になるという方、
もちろん赤坂でご覧になった方にも
お楽しみいただけるような舞台にすべく、
今回いただいた感想も含めて、
芝居小屋の音楽をさらに探求しつづけていき、
BGMにもしっかりと生かしていこうと模索中です。

劇団ふぁんハウスは
25周年という大きな節目を迎え、
さらに飛躍した舞台を
皆様にお届けできるように精進していきます。

今後とも、劇団ふぁんハウスを
どうぞよろしくお願いいたします。


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