Page13 –「さぁ!初日」その2

『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2023.07.15 -2

「さぁ!初日」その2

照明、音響、舞台転換を交えての
場当たりは無事終了。

今回の場当たりでは、
私の想いとこだわりを、いつも以上に妥協する事なく
各スタッフさんに遠慮なくお伝えした。

その私の想いを「でも、しかし、だって」とは言わず、
全て受け止めてくれたスタッフの皆様に感謝しつつ、
1時間の休憩後、最終仕上げとなる
「ゲネプロ」(最終リハーサル)が始まった。

ゲネプロというのは、「本番」と全く同じように
おこなうのが大前提なんだけど、
小屋(劇場)入りした時から、
なんとなく喉の調子の悪そうな千秋ちゃんと
美佳ちゃんには、「喉」をセーブしつつ
やればいいからね・・・と伝えた。

ゲネプロで無理してしまい、
本番になって本調子じゃない声に
なってしまうと、元も子もないからね。

2人とも頷いてはくれたけど、
幕開きからどの役者達も全力で演じているので、
そんな中でセーブして演じるってのは、
そりゃーあーた、
なかなか難しいのが役者ってもので、
どの役者もゲネプロだからって事で
力を抜いて演じる役者は誰一人としていない。

私はといえば、皆さんが熱演している姿を
写真に収めるべく、ニコンの一眼レフカメラに
300mmの望遠レンズを装着し、
誰もいない客席のあっちをウロウロ、
こっちをウロウロしながら、シャッターを
切りまくる。

それで私演じる「中沢」の出番となると、
音声ガイド操作担当の美鶴さんに
ニコンを預け撮影班をバトンタッチして、
私はタイミングを見計らい、
そろーりと舞台袖に移動し、「中沢卓」を演じる。

それにしても役者やったりカメラマンやったり、
演出として客席から芝居を観たりと、
我ながら結構忙しかったけれど、
やっぱり「舞台写真」ってのは必要だからね。

そのゲネプロですが、
私がバシャバシャとシャッターを切っている
音にも動じず、皆さんは本番さながらの迫力ある
堂々たる芝居で、とてつもなくカッコいい照明と、
最高のサウンドの中、問題なく終了した。

時計に目をやれば、お客様がご入場いただく
開場時間まで45分!(開演1時間半前)。

この時間を利用して、
まずは舞台上に役者全員が並んでの記念撮影。

なぜにこんな忙しい時に写真撮影か?
と言えば、今、みんなが着ているのは、
エンディング時の華やいだ衣裳なのです。
折角の記念撮影なのだから、
華やいだ衣裳がいいでしょう!って事で、
このタイミングでの撮影となる。

素早く舞台上に椅子を用意して、
結婚式の集合写真の如く、
私を中心に皆が並び、笑顔いっぱい
「はい、ポーズ!」

ゲネを終えて、
これから本番だという緊張感の中、
ホッと一息つける楽しいひと時。

この写真撮影が終わると、
今度は受付スタッフさんとの
ささやかな交流の時間。

劇団ふぁんハウス公演の特徴のひとつとして、
どなたでも
お芝居を御覧いただける環境というものを、
設立時から何十年間にも渡り続けていて、
例えば最寄り駅から劇場までのガイドヘルプや、
劇場内での誘導、音声ガイド、車椅子等の
お客様への対応、点字パンフの配布等、
様々なサービスに取り組ませていただいている。

ただこうした
サポートも人手がなきゃ行えないのだが、
ありがたいことに劇団ふぁんハウスの公演では、
毎回数十名ものボランティアの方々が来て下さる。

圧倒的に多いのは、
受付スタッフとして参加をして、
劇団ふぁんハウスのファンになり、
以来、公演になると駆けつけて
くださるという常連の方々だ。

寒い寒い冬の公演の時も、
暑い暑い夏の公演の時も
笑顔で集まって下さる!

こうした皆様がいらっしゃるからこそ、
「バリアフリー観劇サポート」
を行う事が出来るのだ。

その受付スタッフの皆様にご挨拶をすべく、
写真撮影を終えたタイミングで
客席内にお入りいただく。

初めましての方、常連の方、
劇団ふぁんハウス公演のために、
暑い中来て下さったのかと思うと、
感謝の気持ちで心が熱くなる。

初めましての方は、
役者陣がずら?っと並んでいるからなのか、
ちょっぴり
緊張されている方もいらっしゃるようなので、
まずは私の軽快?な
トークで緊張をほぐしていただき、

なんとなく皆様が笑顔になったところで、
受付スタッフさん、役者陣が本番前に行う、
今やすっかり恒例行事となった、
アントニオ猪木さんの「1,2,3,ダァ?」を、
天に向かってこぶしを突き上げなら大声で叫び、
気持ちをひとつにさせていただく。

そして役者陣は楽屋、
受付スタッフさん達は持ち場へと向かう。

お客様入場まで残り10分。
今回のお芝居も緞帳幕は下りないので、
お客様が入場されると、
役者陣は舞台上には行けないので、
開場前のわずかな時間を利用して、
役者達は、舞台上で動きのチェック、
発声練習、ストレッチ等を行い、
ギリギリまで舞台上にいる。

やがて受付リーダーと
無線でやり取りをしていた舞台監督さんが、
「では!開場しまーす」と叫ぶと、
舞台上の役者達は一斉にいなくなり、
静まり返った劇場内に、
続々とお客様が入ってこられ、
楽屋内では緊張感が高まるのでした。


共有: