「充実の秋を目指して」  ますだゆみ

ようやく秋めいてきましたね。
自分が生まれた時期だからかもしれませんが、私はこの季節が一番好きです。

秋というと「食欲の秋」「芸術の秋」「読書の秋」等とよく言われますが
やはり一番は「食欲の秋」
ほっこり、甘くておいしいものが
この時期は沢山目に入り、誘惑にはなかなか勝てません。

ですが・・・。
今年の私は「芸術の秋」傾向にあります!(笑)

SNSやネット等、文字を読む機会は沢山あります。いや、むしろ年がら年中「読んでいる」かもしれません。
電車の中やバスを待っている時も、常にスマホを眺めてすごしてしまいますが、
台本以外で紙に書かれた文字を読む機会からはずいぶんご無沙汰しているなあと
思っていたところ、興味を惹かれる作品に出合いました。
「世界で一番透きとおった物語(杉井光)」という本です。

タイトルは勿論ですが、一番興味を惹かれたのが「電子書籍化絶対不可能」
「紙の本でしか体験できない感動」というコメントです。
これはまさに私が読みたい本かもしれない!
ピンときました!

まだ未読の方もおられると思うので、
詳しい内容には触れませんが
紹介されているあらすじを要約すると
<家庭を持つ父親とは一度も会った事がなく、
ずっと母と二人で暮らしていた主人公。
その母も亡くなり、バイト以外には人と会う事もなくひっそりと生きていた。
そんな彼のもとに、ミステリー作家であった父が急逝したとの知らせ。
更に本妻の息子から「親父は『世界でいちばん透きとおった物語』
という本を書いていたらしい。
その原稿がみつからない。何か知らないか」と
連絡があり、初めて会う「兄」の依頼で遺作探しをすることになってしまう>
というものです。

遺稿を探していくプロセスで、父がとんな人であったのかを知り
謎めいた事実や登場人物。果たして作品はみつかるのか?というミステリー要素もあり、
なかなか楽しめました。
そして、このタイトルの意味する事がわかった時感じた「ある思い」が
次回作「ふたりのゆめ」で自分が演じる役に通じるかもしれない。
と、後に台本を頂いた時に感じました。

また、先日は映画を観に行きました。
こちらは役を頂いたあとに見た作品で、
役作りの為に見たとも言えますが
吉永小百合さんと大泉洋さんが親子を演じられた「こんにちは、母さん」です。
小百合さんの魅力は言うまでもありませんが、山田洋二監督が作品に込め続けてこられた
「家族」「親子」について、再び熱い思いを感じさせて頂きました。

役を演じる上で、自分の体験だけでは想像しきれない事は山ほどあります。
こうして本や映画から得られる感情は、自分自身の創造力を大いに助けてくれます。
これからもステキな作品に出合えるよう、
常にアンテナを張って
更に「芸術の秋」を深めたいと思っています。


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