Page13 –「ボヤボヤしていられない。」

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団長の独り言 2023.12.17

12月17日(日)「ボヤボヤしていられない。」

舞台セットを考案してくださる三井優子さんから、
今回の作品「ふたりのゆめ」の舞台図面が届いた。

メールにて届いた
PDFをワクワクしながら開けると、
今回も「なるほど!」的なめちゃめちゃ素敵な
舞台セット案。

毎度の事ながら、私が描いた
「子供のお絵描き」レベルの「こんな感じ」を、
すごくいい感じに仕上げて下さった。

三井さんとのお付き合いも、
もう10年以上になるんじゃないかな?

その絶大なる信頼をおいている三井さんが、
昨日の土曜日、稽古場に来てくれた。

挨拶もそこそこに、
まずは演出席にて打ち合わせをして、
早速、稽古を観ていただく。

まだまだ芝居は固まってはいないけれど、
役者の動きや場面転換等を
三井さんは事細かにチェックしつつ、
その都度、パソコンに入っている
なんだかすごいソフトを駆使して、
ラフ平面図が映し出されている画面を
タッチペンで
「トン・トン・スゥー」とやって、
修正をしていく。

このソフト、凄いんですよ。
例えば、私が平面図を見ながら、

「このソファーは、この位置じゃなくて、
こっちに移動したらどうですかねぇ?」

と言うと、
三井さんはパソコン画面に映し出された
平面図の中の「ソファー」を
タッチペンで囲んだかと思えば、
「トンッ」とやってソファーを消してしまい、

今度は間髪入れずに
私が要望した場所にタッチペンをあて、
また「トンッ」としたら、あら不思議!
さっき消えた「ソファー」が移動して現れる!

それ以外にもパネルの位置とか長さとか、
カウンターの位置、色、デザインなんてのも
タッチペンを素早く動かし、「トン!」と
画面上で操作しただけで、
一瞬にして様々な変更が出来てしまう。

今の時代、デザインを行う方ってのは、
みんなこんな感じでパソコンを
操作しているんだろうねぇ。

そういえば音響の野中君も、
ノートパソコンが音響卓となっていて、
とってもコンパクト。
稽古中はそのパソコンを使い、
様々な変更、修正もチャッチャッと
施している。

その野中君も
劇団ふぁんハウスを創設したばかり位の頃は、
CDやDAT等を再生する機械と、
立派な音響卓、スピーカー等を
セッティングして、
通し稽古に挑んでいたんだよねぇ。

ほんと!今更ながらだけど、
「パソコン」ってすげぇ~なぁ~って、
三井さんの作業を見つつ、実感する。

三井さんは、この日稽古場で実際に
役者の動き等を見て修正してくれた
正式図面を近日中に送ってくれるのだが、

図面が確定したら、それに沿って役者は勿論のこと、
舞台監督さんや照明さん、音響さんも機材を仕込む
手順等を決めていくので、
「いよいよだぁ!」ってところ。

そのワクワク感と緊張感が増した翌日、
本番の舞台と同じだけの広さが取れる部屋での
稽古となるのだが、
昨日、自宅をごそごそしていたら、
私が演歌歌手のマネージャーをしていた頃に
いただいた数百枚以上の名刺の束を発見。
その時の手帳も出て来たので、
役作りの一環になれば!って事で
稽古場に持参し、皆さんに披露する。

数か月の間に、よくぞこんなにも
大勢の方々と名刺交換をしたものだ・・・と
我ながら感心するが、
残念ながら99%の方の顔はおろか、
特長、年齢すら浮かんでこない。

芸能界ってのは、こんなものかぁ・・・
と思いつつ、手帳の中身も見てみると、
今日は新潟、明日は滋賀県、山梨県と、
3か月一切休みなし!
でも、全然辛いって感じなかったんだよなぁ。

そんな中で「綾部」に行った記述も出て来た!
三重県からの移動で綾部に着いたと
思っていたけれど、
「琵琶湖・歌謡なんちゃら」
のイベントに参加した後、
京都府綾部市に移動していたようだ。

いずれにしても
全国各地津々浦々お邪魔したわりには
ほとんど覚えていないのだが、
「綾部」での仕事だけが記憶の中に鮮明に残って、
そのうえシナリオまで書いてしまったのだから、
やはりそれだけ「綾部」という街は、
私の中では、
とっても素敵な場所だったって事なんだね。

そんな事を想いつつ、気持ちを切り替え、
さぁ!稽古開始。

まずは
ずーっと後回しにしていたダメな芝居が続く、
それぞれのシーンの稽古。

稽古というよりも、ワークショップのような
感じになってしまったけれど、
「魔法」をかけつつ、時間を掛けて
何度も繰り返してもらうと、
わざとらしい「お芝居」が消え去り、
すっごくナチュラルな芝居がそこに現れた。

「そういう芝居になると
演じた気がしなくて、
物足りないかもしれないけれど・・・」

と言ったら、

「いえ!
すごくやりやすくなりました!」

とそれぞれの役者達が感想を言ってくれたし、
実際、これは稽古場で客観的に観ていた共演者達も、
ナチュラルな芝居を受けた相手役も、
誰もが「すごく変化した」
ってのを実感していた。

本当は、全てのシーンでも
ここまで丁寧にやりたいところではあるのだが、
次回の稽古から、
いよいよ昼夜稽古となるので、
個々の芝居よりも、
全体的に稽古をみつつ、出来不出来の調整をし、
「通し稽古」を見据えた稽古に
切り替えなきゃいけない。

だから同じダメを出されないように、
セリフを完全に自分のモノにして、
これから始まる「追い込み」に
備えましょうね。


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