Page22–「初日」

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団長の独り言 2024.1.26 -4

「初日」

ついに初日を迎える。
気温は3度、寒いけれど清々しい朝。
いつものように平野カーに乘りこみ、
エンジンを掛けるのとほぼ同時くらいに、
今回はBluetoothに繋いだスマホを用いて、
車のスピーカーから流れる
ハウンドドッグの「フォルティシモ」を流す。

今回で44回目の初日となるのだが、
25、6年前の第1回公演の時から、
初日の朝は必ずこの曲をまずは流し、
気合を入れる。

「激しくたかぶる夢を眠らせるなぁ~
あふれる思いを、あきらめはしない。」

歳を重ねるにつれ、
ついつい忘れがちになるこの言葉、
そうだ!諦めない!

発声練習を兼ねて、曲に合わせて
大きな声で歌いながら劇場へ。

集合時間の午前9時前、劇場ロビーには
全メンバーが顔を揃えている!

みんな元気で何より。
ホントにそこが一番大事。

午前9時20分、舞台上に出演者、
各スタッフさん全員集合し、
毎回の恒例行事である「成功祈願」から。

舞台セットに設置した
今年の正月にいただいた
「明治神宮」のお札(おふだ)を
全員で囲み、
アマティアズの祝詞に合わせて、
首を垂れ、願うはひとつ!

「無事、成功しますように」。

午前9時30分、昨日の続きで
2幕幕開きから(幕はないけど・・・)

フッと携帯の万歩計を見たら、
昨日は18000歩も歩いている!

うそ!ほぼ1日中劇場にいたんだよ。
移動は全て車だし・・・私は劇場内を
そんなにウロウロしていたんだねぇ。

その中でも一番動いたのが、
この「場当たり」。

演出家は通常「場当たり」になると、
客席に設けた演出席にドン!と腰掛け、
マイク(通称・ガナリマイク)を用いて
客席の暗闇の中から、舞台上の役者、
スタッフに、その都度その都度、
指示を出すものなんだけど、

私は「場当たり」が始まると
じっとしてはいられない。

客席の一番前に行ったり
一番後ろに行ったり・・・

客席のどの席から、
どんな風に見えるのか?
役者のセリフが聞こえているのか?
チェックしつつ、
照明のバランス、色合い、
音響のレベル等も、
神経質に客席をウロウロしながら
チェックする。

・・・かと思えば
舞台上の上手、下手の袖に現れ、
また客席に戻り、
音響さんや照明さんのブースへ。

今回、照明ブースは客席の一番後ろの席から
近いところにあるので、照明さんへの注文も
ガナリマイクは使わず、客席の一番後ろに行って、
窓越しではあるけれど、
照明ブースで大塚さんと話をする。

一応は「ガナリ・マイク」は
持ち歩きながらの
チェックではあるけれど、
私が自ら動くので、
ほとんどマイクは使わない。

2幕も1幕同様、
幕開きというのはかなり神経を使う。

2幕というのは、休憩されて
お席に戻られたお客様の気持ちを、
またグッ!とお芝居の世界に
導かねばならないのでここは重要!

私は静かに客席に腰掛け、
開始を待っていると、
BGMとして客席に流れていた曲が
徐々に大きくなり、
それと同時に場内も暗くなり、
舞台上に明かりが入り、2幕が始まった。

客席から
その様をチェックしていたけれど、
ダメが通ったのか?とてもいい感じ。

特に問題なく、
次のシーン、その次のシーンと
場面転換に絡む照明、音響、舞台転換は
順調に進むが、上手、下手の前方から
各役者達がグループに分かれて
登場するシーンでは、
役者が階段を上がるタイミングや、
立ち位置等の修正があったのと、
老人ホームから居酒屋への転換が、
相変わらず、
稽古場で行った通りにはいかず、
色々と手順等を見直すのに
多少の時間を要した。

しかしその後は順調に進み、
予定よりも早くに
場当たりが終わったので、
変更した場面転換の稽古を行い、
こちらも大きな問題点もなく無事終了。

約1時間ほどの休憩後の午後2時、
これまでの集大成となる
「ゲネプロ」を開始。

ゲネプロとは最終リハーサルの事で、
本番と全く同じに行う。

本番と全く同じなので、
どんな事があろうとも
芝居を止めるなんて事は
絶対にしてはいけない。

照明、音響、舞台スタッフ、そして役者と、
どのメンバーも真剣勝負に挑む顔。

1ベル、アナウンス、2ベル、
そして演奏が始まる・・・
その幕開きの様子を客席から見守るが、
とーってもいい感じ。

いやぁ~ほんとにスタッフの皆さん、
ありがとう~って感じ。

役者の早替えは問題ないとの事。
恐いくらい順調に大きな問題もなかったが、
役者の芝居に関してはテンポが悪いし、
トチリもある・・・
かなり不安を残してゲネプロは終了した。

ゲネプロ終了後、役者は舞台上に残り、
プロカメラマンの
平野さん(アマティアズのお兄様)の
すっげ~カッコいいカメラを使っての
集合写真撮影。

そして受付スタッフの皆さんに
劇場内に入っていただき、
こちらも恒例となった

「1、2、3、ダァ~」

の掛け声とともに、
右手を天に向かって突き上げる
「アントニオ猪木ポーズ」を、
出演者、受付スタッフさん達と
大きな声で叫び、みんなで
心をひとつにしたところで、

軽い食事をとるメンバーもいれば、
瞑想するメンバー、
かるく身体を動かすメンバー等、
初日の緊張を和らげようと、
各自が思い思いの時間を過ごす。

スタッフさん達は、
本番に向けての様々な最終確認を行い、
やがて静まり返った舞台上から
舞台監督さんの
「お客様のご入場でーす」
の声が劇場中に響き渡るのありました。


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