Page20 -「そして千穐楽の幕があがった」

『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2021.07.17-4

「そして千穐楽の幕があがった」

コロナ禍の中、場合によっては
初日の開演時間の変更や感染状況次第で
夜間上演の中止もありえるかも・・・
という状況だったので、
チラシの配布やネットへの掲載等の
公演開催の告知を大々的に行ったのは、
本番の約1か月前だった。

当然の事ながら、
チケット予約の出だしは遅く、
出演者には集客の厳しさを伝え、
「なんとかお客様を呼ぼう!」
と個々の力にも頼ったけれど、
それでも予約は伸びず、
さすがに今回は、チケットノルマのない
劇団の限界を感じざるを得ない状態になった。

しかし、
私が芝居を本格的に始めた20代前半の頃、
「チケットノルマ」ってのに
散々苦しめられた経験があり、
またチケットノルマのために
芝居を諦めてしまう人も見て来たので、
劇団ふぁんハウスを立ち上げた時、
「チケットノルマなしでやる!」
って決めてやってきたので、
やはり「ノルマ」ってのは、
やりたくない。

ただ今回、
公演の告知が遅れたのは非常に厳しく、
初日は
「お客様が劇団に同情するくらい少ないかも・・・」
「完全大赤字・・・」
ってのを覚悟して挑んだのだが、
初日の幕を開けてみたら、ほぼ「満席状態」。

板橋区文化・国際交流財団を始め、
板橋区の関係者各位のご協力もあって事なので、
それはもう感謝しかない。

しかも、この日お越しいただいた
お客様からの反応もすこぶるよく、
反省点は多々あるが、何はともあれホッ!とした
翌日7月17日(土)。

劇団ふぁんハウスの千穐楽、
さらに気を引き締めて本番に挑む。

千穐楽の朝、9時に楽屋入り。
9時45分、客席に集合し、
まずは昨日気になった芝居後半の
大転換の稽古から。

音響の野中君からの指摘で、
転換中の足音がかなり気になったとの事。

緞帳幕が閉まっている中での転換なので、
早くする事ばかりに気をとられ、
足音にまで気を回し切れていなかったと反省し、

「静かに」「スピーディー」
に転換が出来るよう、
転換に絡む全ての役者とスタッフは、
最大限足音に注意を払いながら行ってみると、
やれば出来るもので、客席に音が漏れる事なく、
とてもキレイな大転換が出来た。

その他にも、紗幕(あみの幕)の中でも
プチ転換を行う事にしたので、
そちらの稽古も繰り返す。

そんなこんなで
舞台上で様々な確認作業を行っていると、
あっという間に本番1時間半前!

各自が楽屋等に戻り、
メイクするもの食事を摂るもの、
転換スタッフ達は舞台セットを
キチンと幕開きの状態にして、
舞台上の清掃もしっかり行ってくれる。

一方の受付チームも、皆さんは大忙し。
お客様をお出迎えするにあたり、
検温、消毒というこれまでの
演劇の入場ではありえないような業務も増え、
前回の冬の公演で行ったとはいえども、
相変わらず、感染予防対策には
かなり神経をとがらせる。

昨日と違ってお昼のお客様の出足は早いので、
開場前からすでに大勢のお客様が
ロビー前にお越しになっているので、
受付さん達は笑顔での対応。

そして緊張感高まる中、いよいよ開場。
「開場しまーす」という
舞台監督さんの合図と共に楽屋モニターに
目をやれば、続々とご入場されるお客様。

本番5分前、緞帳幕の中に全員集合し、
恒例の円陣を組んで「いくぞー」「おー!」
で気持ちをひとつにして、各ポジションに着き、
ゆっくり静かに
アマティアズのピアノ演奏が始まり、
「ざ・クリーンキーパー」の千穐楽の幕が上がった。


共有: