Page8 – 「真面目に一生懸命に」

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団長の独り言 2021.05.23

5月23日「真面目に一生懸命に」

緊急事態宣言が続く中、活動拠点を転々としながらの

稽古となっているけれど、劇団ふぁんハウス応援団の

皆様のご協力の下、時間の制約こそあるものの、

こんな世情の中でも、

稽古が出来る事のありがたさに感謝をして、

感染予防対策には気を抜かず、昨日今日も、

「板橋公演を絶対に成功させる!」

って強い気持で稽古に挑むと、

回を重ねる事に赤坂公演とはあきらかに違う

芝居になっていく。

例えば、大勢の出演者がわさわさと出て来て、

あーでもない!こーでもない!って掛け合う場面等は、

これまでにないキレが出て、セリフの細かな語尾とか

言い回しも変化して、情熱的で面白くテンポも最高!

私は演出をするって事をすっかり忘れ、

知らず知らずのうちに、
一観客として大笑いしながら見入ってしまう。

そんな、ガムシャラな芝居が相乗効果となり、

自然と身体が反応し、気が付けばどの役者もノリノリで、

とっても面白い芝居となっている。

ただみんなは、

「受け狙いでおもろい芝居をしよう!」

「こんな感じでセリフを言って相手に絡もう!」

と計算をしていたわけでもなく、

無我夢中になって演じていたので、

「面白くなった!」と言われても、

「えっ!?そうなんですかぁ?」ってな感じ。

いいの、いいの。それでね。

その一生懸命さと集中力を

続けてくれればそれでいい。

なまじっか

「ここは面白い事をやってやろう!」とか

「前回の感触を再現しよう!」

なんて事を意識し過ぎてスケベ心を出してしまうと、

リアクションの新鮮味がなくなり、

とてもわざとらしい芝居となってしまう。

私の描く脚本って、特に文学的でもないし、

ひねりの入った、いかにも「頭のいい人が描いた!」

みたいな哲学的なものでもないし、

かと言って感動の大スぺクタクルでもなく、

言ってみれば陳腐な内容なものだから、

役者が少しでも気を抜いたら、

面白くもなんともない芝居となってしまう。

それでも劇団ふぁんハウスは、

経験者、未経験者、上手い人、不器用な人、

老若男女、障害のある人ない人と共に、

この23年間、

ずっといい評価をいただき続けて、

これまで上演して来られた。

それは、

すべての出演者がみんな仲良く元気よく

という大前提のもと、

真面目に素直に芝居に取り組み、

きちんとチームワークを築いてきたからこそ、

ここまで続けて来られたのだと思う。

何歳になっても、

「一生懸命」ってのを忘れちゃーいかんってのが、

私のポリシー。

稽古だからといえども手を抜かず、

いや・・・稽古だからこそ!手を抜かず、

芝居創りに取り組んでいる。

そういえば今回の作品、

「ざ・クリーンキーパー」のセリフの中に、

こんなやり取りがある。

「遊んでるんじゃないんだからね!」

「そーよ!子供の夢がかかってんだからね!」

うん!まさにそんな感じ。

 個々の役者のレベルは、

それほど高くないかもしれないが、

そこをカバーすべくみんなで「一生懸命」になって、

いい芝居を創り上げ、

今回も劇場にお越し下さった皆様に、

「夢」と「希望」と「勇気」をお届けして、

笑顔になっていただきたい。

それこそが劇団ふぁんハウスの役割だと思い、

これからも、

真面目にお芝居と向き合うのでありました。


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