「カズオ・イシグロの『クララとお日さま』を読みました!」  福岡美佳

8月17日配信のメールマガジンに
「AIにメルマガの文章を書かせてみたら…」
というテーマで寄稿したことをきっかけに
AIの可能性に興味を持った矢先に、
AIロボットが主人公の小説を本屋で見つけ、迷わず購入しました。

カズオ・イシグロの「クララとお日さま」です。

カズオ・イシグロは長崎生まれですが5歳の頃、父の仕事の関係で渡英し、
以後日英両方の文化を背景に育ち、英語で小説を書いています。

2017年にはノーベル文学賞を受賞、「わたしを離さないで」
(映画化され、私も観に行きました)等の代表作があります。

今回読んだ「クララとお日さま」は、
子供の成長を手助けするために開発されたAIロボットの「クララ」が主人公で、
物語は全てクララ目線で描かれています。

本屋で冒頭部分を立ち読みした時、
AIロボットが語り手となっていることに衝撃を受け、
早く続きが読みたいと思い、すぐさまレジに持って行きました。

クララはAIロボットを売る店に陳列され、
ジョジーという病弱な少女の家庭に買い取られ、
ジョジーと友情を育んでいきます。

ところが、ジョジーの一家には秘密があり…
(この先はネタバレになるので伏せます)という物語です。

この作品は映画化も予定されていて、
どのように作品の世界観が表現されるのかとても楽しみです。

クララがとても人間らしく見え
(ある意味、どの登場人物よりも人間らしかったです)
AIにも心があるのでは?と感じるほどでした。

愛とは?人間の存在とは?心とは?
そんなことを考えさせてくれる作品で、
読んだ後切ない気持ちになりました。

また、AIロボットを人間と同じように大切に扱う人がいる一方で、
嫌悪感を持ったり反発したりする人がいるのもリアルだと感じました。

将来、この小説のようにAIロボットと人間が友達になる可能性もあるのだろうか、
そしてAIロボットは何らかの感情を抱くのだろうか、
AIロボットに人間が感情を動かされることも出てくるのだろうか、
等々強く考えさせられました。

前回寄稿したメルマガの文章にも触れた通り、
AIが劇作や舞台に影響を及ぼすこともあるのではなかろうか、
すると、人間の存在意義は、
人間でなければできないことは何だろうかとも考えました。

答えが出ない問いばかり思い付いてしまいますが、
目の前の脚本と向き合ってお芝居をすることが、
その問いを解くのに役立つのかもしれないとも思っています。

先日、ふぁんハウスの1月上演の新作台本が出来上がったとの知らせを団長より受け、
脚本と対面する日(顔合わせの日)を今か今かと心待ちにしています。


共有: