Page10 –「綾部に行ってきました。」

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団長の独り言 2023.11.23

11月23日(木)
「綾部に行ってきました。」 

今回の作品「ふたりのゆめ」の舞台は
京都府綾部市がメインとなっている。

何故に綾部か?と言いますと・・・
あれは数十年前、
まだ劇団ふぁんハウスもなかった頃、
私は演歌歌手Mのマネージャーなるものを
やっていた時期があって、
その時に
「日本アマチュアカラオケ連盟綾部支部」
のお招きで、
夜のキャンペーン活動と懇親会に
出席させていただくために、
綾部に演歌歌手Mと共に降り立った。

大阪府枚方市出身の私だが、
その当時、
京都に綾部という街があるのは知らなくて、
確か・・・
三重県のどこかしら(忘れた)の街での
営業活動を終え、
すぐに近鉄特急に飛び乗り京都まで移動して、
そこからディーゼル特急に乗り継ぎ綾部に到着。

夕方だったかなぁ?
支部長さんが駅に迎えに来て下さっていて、
その日は紹介された営業中のスナックに向かい、
夜キャン(夜のキャンペーン)活動を
させていただいて、
たしか・・・CDとカセットテープを
10本ほど買っていただいた。

その「夜キャン」を終え店を出て、
駅前のビジネスホテルに到着したのが、
夜の9時くらいだったと記憶している。

ただこの日は、朝、東京から
三重県に入り営業活動を行い、
そのまま綾部に移動しての
「夜キャン」だったものだから、
私も演歌歌手Mもクタクタ・・・
しかも
食事らしい食事も摂れなかったので、
どこぞで晩御飯でも・・・って事になり、
綾部の夜の街をうろつくと、
どこもかしこも閉まっていて、
唯一食事の出来そうな店が開いていたので、
そこでラーメンを食べた。

翌日、集会所の畳敷きの懇親会会場で
お集りいただいた
地元の有志の皆様の前で歌を披露し、
宴会では
演歌歌手Mと共にお酌をして回りながら、
応援してくださる事へのお礼をさせていただき、
東京に戻ったのだが、

綾部の皆様の温かい笑顔と
優しさが忘れられず、
綾部という場所が私の心の中に
ずーっと残ったまま
約27年ほどの月日が流れ、

今回、新作を描くにあたり、
意識したわけでもないのに、
自然と綾部の街を想い出しながら
描いていた。

だから「何故綾部?」と聞かれても、
具体的な意味はなく、
しいて言えば
「心の中に綾部があったから」ってところ。

その綾部に、
勤労感謝の日の休日を利用して、
出演者達と共に視察に出かけた。

最初は、
「綾部で居酒屋を経営している惠津」を演じる、
千秋ちゃんから「綾部に行ってみたいですね」
なんて話が出て、
すると
「綾部の坂丸スーパーに勤務する照代」を
演じる美佳ちゃんも
「実は私も行く計画を立ててました。」
という事を聞き、じゃ〜って事で、

綾部に縁のある役を演じる、
ゆみさん、たけもっちゃんの5名で
日帰りツアーを行ったのだ。
(美佳ちゃんは
大阪で1泊して大阪視察も行った。)

朝7時東京発の新幹線に乗り、
京都で乗り換え特急で約1時間、
27年ぶりの綾部に降り立つ。

27年前は観光で来たわけでもなかったので、
街を堪能したって事はなかったのだが、
駅前ロータリーの景色、
そして交差点の角にある
ホテルの雰囲気は覚えていた。

「懐かしい」というよりも、
「また綾部に来たよ!」という想いと、
今はどこで何をしているのやらという
演歌歌手Mの方の事を想い出しつつ、
あの頃の一生懸命な30代前半の
自分を思い浮かべていた。

さて、その綾部ツアーだが、
脚本を描くにあたり、
当時の記憶をたどりつつ
綾部の街の事を描いたので、
今回は脚本に出てくる場所を
メインで回る事に。

綿密なるタイムスケジュールは
美佳ちゃんが考えてくれたので、
とても助かった。

観光旅行ではなく、
綾部の人々の暮らしぶりと街並みを
見て回るのが主な目的なので、
駅前から少し離れた
住宅街、定食屋、スナック、カラオケ喫茶、
新聞販売店、売り物件と張り紙がある美容室、
そして映画館???に、
「阪神戦やってます」と張り紙のある飲食店等、
綾部の生活感を肌で感じて歩き回る。

美佳ちゃん演じる「照代」が働いている
「坂丸スーパー」のイメージ通りの
「フレッシュバザール」という
立派なスーパーマーケットもあったので、
そこにもぞろぞろと入店し、
綾部の皆さんはどんな暮らしぶりなのか?を
売られている食材等もチェックしてまわる。

ただ何も買わないのも何なので、
私は子供の頃によく食べた
「ボンタンアメ」と「都こんぶ」を購入。

昼食は居酒屋一二三亭で、
関西ならではのうどんを堪能。

千秋ちゃんは劇中で重要なポイントを占める
「焼うどん定食」を注文し、
写真を撮りつつ食していた。

開店してまもなかったけれど、
お店の方の笑顔が素敵で、うどんの味も最高!
夜は居酒屋になるようで、
きっと夜のメニューも
美味しいんだろうなぁ〜ってのを
感じさせてくれるお勧めのお店でした。

その後、綾部駅から電車移動で、
劇中にでてくる「安国寺」へ。

紅葉がめちゃくちゃ綺麗で、
お寺も藁ぶき屋根のお堂があって、
国宝級の仏像も拝観し、
足利尊氏のお墓参りまでさせていただき、
いやぁ〜
ここは想像以上に素敵なお寺であった。

そして次は
最終目的地である「中丹文化会館」へ。

この「中丹文化会館」が、
今回の「ふたりのゆめ」では、
とーっても重要な施設として描いているので、
メンバー達は絶対に行かねばならない
施設なのです。

本当は、とあるバス停で
「中丹文化会館行」
のバスに乗り換える予定だったのだが、
降りたバス停で約20分待って、
そこから中丹文化会館行のバスに乗車して
10分程かかるとの事だったので、
「歩いても
そんなに時間は変わらないよね?」
って話になり、乗り継ぎのバス停から
「中丹文化会館」まで歩く事に。

「歩いたほうが、
綾部の雰囲気も分かるよね!」と
みんなでおしゃべりしながら歩いていると、
カラオ喫茶があり、劇中にでてくる
「居酒屋門出」のような居酒屋もありで、
写真を撮りまくる。

暫く歩くと
歴史を感じる美術館のような
大きくて立派な建物があったので、
道を渡って確認してみると、
なんと!「グンゼ」の本社って書いてある。

そうなのです!
綾部は、
かの有名な「グンゼ」の発祥の地なのです。
グンゼ村って言ってもいいくらい、
道のこっちとあっちと、
グンゼがそびえ立っていて、
グンゼの偉大さをまざまざと実感。

そしてさらに進むと
一級河川・由良川にかかる白瀬橋に到着。
その橋から遠く望む山の景色は、
とっても素敵!

するとゆみさんが、
「この景色、オザワさんが描いて下さった
今回のチラシの景色と同じですよ!」
というではないか!
本当だ!さすが我らのオザワさん。
「ふたりのゆめ」のチラシのイラストは、
まさに「綾部」が描かれているのです。

みんなで「へぇー」「すごーい」
といいつつ、中丹文化会館を目指す。

スマホのアプリが示す到着時間が
段々縮まってきて、
あと13分と出ていたので、
「楽勝だね」と思いきや!
なんだか山道を登り始めたよ・・・
しかもどんどん急な坂になってくるし。

メンバー達の口数も少なくなり、
息もあがってきたところに、
我々が乘る予定だったバスが、
グワ〜ンと抜かしていく・・・。

やはりバスのほうが良かったかな?
って思ったけれど、
でもね、歩いたからこその
街の風景を堪能できたのだし、
それはそれで実りがあったと
みんなで納得しつつ、
はぁ〜はぁ〜
言いながら山を登りきると、

おおお!立派な佇まいの
「中丹文化会館」が目の前に現れた。

はぁ〜はぁ〜
言いながら玄関に辿り着くと、
「古典芸能へのお誘い」
というイベントを行っていて、
入場無料との事だったので、
着物姿の関係者の皆様に
ご挨拶をしつつ中に入らせていただき、
客席から素敵な舞を拝見したけれど、

たけもっちゃん、
千秋ちゃん、美佳ちゃん、ゆみさんは、
自分達の役の人物がそこにいる事を思い浮かべ、
客席や舞台等を真剣にチェックしていた。

終演後、楽屋口にも回り込み、
その雰囲気もじっくり観察し、
ちょっとした寸劇をしていたら、
うお!17時を回っている!
慌ててバス停に向かい、
ほぼ定刻どおりにやってきたバスに
乗り込み綾部駅へ。

観光案内所でお土産をなんぞを
購入しまして、
綾部駅から特急で京都駅、
そして新幹線で東京へ。

東京駅に到着したのは20時33分。
今朝、出発したのに、
何日間も長旅をしたように感じるのは、
それだけ綾部ツアーが
充実していたって事だね。

朝から夜まで
ビッシリのスケジュールだったけれど、
不思議と疲れはなかった。
ただスマホの万歩計の数字は
2万3千歩だったけど・・・。

それにしても
久々に綾部に伺ったけれど、
とっても素敵なところでした。

1日だけでは物足りない。
聖徳太子が建立した光明寺や、
樹齢2千年の大トチの木も観たかったし、
グンゼ記念館も行きたかったし、
それから夜の綾部の街もうろつきたかったなぁ。

いずれにしても、
今回のこの充実したツアーの貴重な体験を、
芝居に行かせればと思うのでありました。


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