Page24–「皆様に支えられ無事、終了しました。」

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団長の独り言 2024.1.27 -6

「皆様に支えられ無事、終了しました。」

千秋楽、今日も朝から天気はいい。
午前8時45分、ロビーに到着すれば、
出演者達全員、元気に顔を揃えている。

昨日の初日はお客様も大変感動し、
楽しんでいただけたようだけど、
客席から観ていた
演出アドバイザーのTさんや、
お客様からちょうだいしたご意見を元に、
照明や音響の修正と、
舞台転換に関しても、
綱渡り状態であった箇所の改善点が
何か所かあったので、
芝居を絡めての修正や調整を行う。

とにかく真剣!みんな真剣!
その作業を午後12時頃まで行い、
役者陣は昼食も摂り、メイク、衣裳と
準備でみな結構バタバタ・・・。

ただそのバタバタの中の
みなが準備をしている様子や、
アップをしている姿を観ていても、
どこかしら「余裕」のようなものを感じた。

その「余裕」がいいように働いてくれれば、
この日の千穐楽は、
昨日以上の素晴らしいステージになるのだが、

これまでの経験上、初日が上手く行った
翌日の2日目というのは、
余裕からくる油断が、
悪い方に転ぶ場合が多々あるので、
みんなの様子はちょっと心配。

そうこうしていると、舞台監督さんの
「お客様、ご入場致しました」
の声が館内中に響き渡るので、
私はコンビニのとろろ蕎麦と
納豆巻きと・・・あとは
「速攻元気」を食し終え、

メイク、衣裳と準備を整え、
本番を待つばかり!となったところで、
今一度、「源助」の居酒屋門出での
動きの確認を行うべく、
本番10分ほど前、橘田君と共に
女子楽屋に訪れ、最終確認を行っていると、

音声ガイド担当の美鶴さん(平野美鶴)が、
「音声ガイドの音が突然出なくなった!」と、
血相を変えて飛んできた。

時計に目をやれば開演5分前!
これは一大事!
この日も音声ガイドを
利用される方が大勢お越しになっている。

美鶴さんに機械の配線を外し、
楽屋まで持って来てもらう時間はない。

やむを得ないのでメイクの状態ではあるが、
私は上着を着て顔を伏せ、
そろーりと客席の一番後方にある
音声ガイドブースへ向かった。

到着した満席の客席は、まもなく開演という事で、
全てのお客様はお席に着き、正面を向かれているので
誰も私の存在には気が付いていない様子。

身をかがめ、
まずはラインがつながっているのか?
チェック・・・問題ない・・・。

あと考えられるのは・・・と、
音声ガイドを流すデッキの
液晶画面に目をやればMのマークが!

「ミュートだ!」

私はデッキのリモコンにある
「消音」スイッチを押すと、
無事、FMラジオから音が流れ始めた。
恐らく、美鶴さんが何かのはずみで
「消音」ボタンを押してしまったのだろう。

音声ガイドラジオの
チェックをしていた場内にいるスタッフさんが
笑顔でオッケーサインを出してくれたので、
私は再び顔を隠して、楽屋に戻ると
1ベルが場内に鳴り響き、
その数分後、千穐楽が始まった。

出だしは好調だったのだが、
シーン3「居酒屋門出」で、
一人の役者がセリフをとちり、
そこから徐々にこのシーンに
出ている役者達のペースが狂い始める。

へんな間を開けて喋るは・・・
挙句の果てにはセリフが
頭から消えたのだろう、
全く違ったセリフを
堂々と言ってしまう役者も出てしまい、
袖でスタンバイしている
私はもぉ〜怒り心頭!

ただ芝居は止まる事なく
ちゃんと流れてはいるのは幸い。

それでも
セリフの言い直しがちらほらあるし、
これは何としてでも挽回せねば!
私演じる「源助」の登場となったので、
のっけから元気にテンポ良く、
大きな声で登場し、
みんなを引っ張り上げるのに必死!

ようやくペースも戻り始め、みなの芝居も
いい感じになって来たと思えば、
次のシーンでは、
今度はたけもっちゃん(竹本和弘)演じる
「社長」もテンポが悪くなり、
みっちゃん演じる「ゆかり」も覇気がなく、
「山本陽子」役のラムさん(小池陽子)も
危なっかしい。

そこで私は舞台セットの裏側に
台本とペンライトを持ち込み、
みなのセリフをチェックしつつ、
万が一、
またセリフにつっかえがあれば、
影でささやく「プロンプ」をすべく、
神経を集中させたが、
その後はどうにかこうにか
皆さん持ち直し、
1幕終了後に休憩に入ったので、
全員、舞台裏に集合してもらい、
「喝」を入れる。

当然ながら、誰しも
「こんなことではいかん!」
という自覚はあったので、
その分、2幕で取り戻さん!とばかりに、
すごい集中力でなんとかラストまで
ノーミスでテンポも回復させ、
クライマックスの感動的な場面では、
涙を拭う方が結構いらしたそうだ。

そのあとに続く
フィナーレでは手拍子を頂戴し、
会場中が涙と笑顔いっぱいの中、
千穐楽の幕は下りたのでした。

終演後、
お客様へのお見送りでロビーに出ると、
あちらでもこちらでも笑顔の花が咲いていて、
沢山の方々から、
有り余るほどありがたい感想を頂戴する。

ただ私の中では悔しさが残る。

それでも
何はともあれ芝居を御覧いただいた
お客様からのアンケートを
読ませていただいても、
大変楽しんでいただいたという事が
実感出来て、ホッと胸を撫で下ろす。

しかし、
余韻にひたっている暇はない。

全てのお客様がお帰りになったのち、
私はメイクを落とし、
バタバタと自分の片付けを済ませ、
化粧前に奉っていた「神様」に向かい、
男子楽屋にいるメンバー達と共に
お礼のお参りをして、

「ふたりのゆめ」の世界を
元の「麻布区民センター」に戻すべく、
嵐のような勢いで突入した
撤去作業に合流し、
全員でバラシ作業を行い、
2時間後、バラシ作業と原状復帰は無事完了。

照明さん、音響さん、舞台美術さんへの
ご挨拶もさせていただき、
全ての片付けが終わったのち、
今回も大変お世話になった
キスポート財団の〇〇様に
感謝の気持ちをお伝えして、
メンバー全員での三本締め!

その後、劇団倉庫へと移動し、
トラック満載の「ふたりのゆめ」の道具類を、
メンバー達と共に、倉庫の中へと運び込み、
「ふたりのゆめ・麻布公演」は
無事終了したのでした。

寒い中、劇場へお越しくださいました
多くのお客様、劇団ふぁんハウスの
心強いサポーターの皆様、
そして共催事業として今回も全面的に
バックアップしてくださいました
港区・キスポート財団及び
港区の関係者の皆様、
本当にありがとうございました。

これからも、
劇団ふぁんハウスらしく!
「夢」と「希望」と「勇気」を
お届け出来るお芝居を続けて参ります。

今後とも、劇団ふぁんハウスを
よろしくお願い申し上げます。


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